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マルタで感じたこと。

フーガの聞き方ヒントの学び。 11月末、ガブリエリ・コンソートのお仕事でマルタに行ってきました。指揮はポール・マクリッシュ。 演奏したのはヘンデルの《メサイア》。 会場は、ルーベンスの絵画があることで有名な、とても豪華な教会です。 マルタは、地中海に浮かぶ小さな島。光の強さ、植物、石灰を使った白い建物……いかにも地中海、という雰囲気なのですが、不思議なことに、 と、生活感はかなりイギリス。かつてイギリス領だった歴史を、日常のあちこちに感じる、不思議な場所でした。 リハーサル中、印象に残った話があります。ヘンデルの合唱曲、フーガになっている楽章を練習していたときのことです。 マクリッシュが、 「フーガでは、声部によって“拍感”が違うものを重ねることがある」 と話していました。 この楽章では、主題を提示する声部と、それに続く応答フレーズのグループとで、拍の感じ方・運動感がはっきり違っている。 その瞬間、「そういえば、バッハのフーガもまさにそうだな」と思ったんです。 バッハでは、テーマを縮めたり、引き伸ばしたりしながら、違う“質感”として重ねていくことがよくありますよね。 これを「理論」として理解する前に、そういう感覚がある、ということを耳と身体に留めておく。それだけで、フーガの聴こえ方も、弾き方も、本当に変わってきます。 今回の《3日でわかるバロック音楽》の講座でも、私は専門的な知識を前面に出すことは、あまり意識していませんでした。 それよりも大切にしたかったのは、実際に音楽をどう感じ、どう演奏につなげるか。 だからこそ、マグダレーナ・バッハの練習帳から《ミュゼット》を取り上げ、具体的に「どう語るか」「どこが“事件”なのか」を一緒に見ていきました。 私自身にとっても、とても学びの多い時間でしたし、受講生の皆さんにも喜んでいただけたのでは、と感じています。 もし、 と感じている方がいらしたら、 先日開催した《弾きたくなる!教えたくなる!3日でわかるバロック音楽》の講座アーカイブをご覧いただけます。 この講座では、 などを、専門知識を振りかざすのではなく、実際に音楽をするための視点としてお話ししています。 現在、期間限定で見逃し配信をご案内しています。 📅 販売期間:12月15日まで📅 アーカイブ視聴:12月17日まで ▶ 詳細・お申し込みはこちら クリスマスの時期は、キャロルやバロック作品に触れる機会も多いと思います。 年末に一度、バロック音楽の「聴き方・感じ方・弾き方」を整理する時間として、ご活用いただけたら嬉しいです。

🎶バッハ《ロ短調ミサ》とイギリス流コンサート事情

先週末まで、Armonico Consortというアンサンブルの公演でバッハの《ロ短調ミサ》を演奏していました。9月末と10月初めにかけて、全3公演。壮大なこの作品を何度弾いても、そのたびに新しい発見があります。 さて、イギリスのコンサート現場には、いつもながらの“お国柄”が出ます。今回も例に漏れず、リハーサルは本番当日のゲネプロのみ!(いわゆる、当日リハ+本番一発勝負スタイルです😅)ただし3公演あったので、2回目からは少し落ち着いた雰囲気に。でも3回目には出演できない人もいて、メンバーが一部入れ替わるというのも、いかにもイギリスらしい柔軟(?)な展開でした。 ✨ ラテン語の壁、毎回思うこと ロ短調ミサを演奏するたびに、必ず思うことがあります。それは——「ラテン語、ちゃんと勉強しておけばよかった!」 ということ。 日本では、カトリック系の学校でもない限り、ラテン語を学ぶ機会はほとんどありませんよね。でもイギリスでは、いわゆる進学校(Grammar Schoolなど)では普通にラテン語を学ぶらしいんです。この文化の違い、なかなか面白いです。 そういえば昔、初めてオーケストラのオーディションに応募したとき、書類に「C.V.を提出のこと」と書かれていて、英和辞典を引いても意味がわからず…人に聞いてようやく、「Curriculum Vitae(ラテン語)=履歴書」の略だと知りました。 「なんなんだこれは!」と思ったのを今でも覚えています😂どうやらヨーロッパではこれが“普通の言い方”なんですね。とはいえ、個人的にはもう少し分かりやすい言葉を使ってほしいところです…! 💫 「Dona nobis pacem」— 我らに平和を そしてこの作品の最後を締めくくる「Dona nobis pacem(我らに平和を与えたまえ)」の部分。このフレーズを演奏するたびに、いつも胸が熱くなります。 バロック時代は、戦争や宗教対立が今よりもずっと身近にあった時代。その中で人々がこの言葉を歌ったとき、どれほど切実に平和を願っていたことでしょう。 そして現代でも、戦争が絶えず起こり続けている今、この祈りの言葉が持つ意味は、ますます深く心に響きます。音楽を通して、「平和を願う声」は時代を超えて伝わってくるのだと感じました。 🎻 おわりに バッハの《ロ短調ミサ》は、宗教音楽の枠を超えて、人間そのものの祈りや希望を描いた作品だと思います。今回の演奏でも、そんなバッハのメッセージを改めて感じる時間になりました。そして、音楽が今もこうして「平和への祈り」を届けていることに、静かな感動を覚えます。

🎭野外オペラシーズン終了!

☀️今夏のオペラシーズンが、無事に終了しました! イギリスの夏といえば、音楽好きにはたまらない「野外オペラシーズン」。 …といっても、「野外」で演奏するわけではないんです。笑 ちゃんと屋根のあるオペラハウスでの上演します。 ただ、開演前や長めの休憩(90分くらい!)の時間に、 観客の皆様が、緑あふれる敷地でテーブルを囲み、ピクニックを楽しみます。 しかも、ドレスコードあり! 燕尾服の紳士やドレス姿の淑女が芝生の上で優雅に食事をする光景は、映画のワンシーンのようです✨ 「音楽」「自然」「社交」が一体となった、イギリスならではの文化イベントと言えます。 写真は会場のオペラハウス。リハーサル期間でしたので、正装の紳士淑女はいらっしゃいません。 🕊️ 今年はベートーヴェン『フィデリオ』! そんな素敵な舞台に、今年も《ザ・イングリッシュ・コンサート》からお声がけいただき、 6月から7月にかけて、ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』を、古楽器で演奏させていただきました。 昨年はラモーの『プラテー』を演奏していたので、今年はまったく違うジャンル。 改めて、「ピリオド奏者」としての幅広さを実感しています。 🧐「ピリオド奏者」って? 私は自分のことを「バロック・ヴァイオリニスト」と紹介することが多いのですが、 古楽の世界では「ピリオド奏者」という言葉がよく使われます。 この“ピリオド”とは、「歴史的なある時代」という意味。 つまり、作曲された時代に合ったスタイルや楽器で演奏するという姿勢を表しています。 なので、「バロック」だけでなく、 ・ルネサンス時代の作品を演奏することもあれば、 ・古典派(ハイドンやモーツァルト)や、 ・最近ではロマン派(ベートーヴェンやシューベルトなど)も扱うことがあるんです。 今回は、ベートーヴェンのドラマティックな音楽に、古楽器ならではの音色で取り組むという、 とてもやりがいのあるプロジェクトでした🎶 🏰 美しいオペラハウスでの7公演 会場は、美しい敷地に建てられたオペラハウス。 毎回、自然と一体になったような環境で演奏できたことが、とても印象に残っています。 演奏会は全7公演。 素晴らしい奏者のみなさんとご一緒できて、学びの多い充実した時間でした。 大きなオーケストラの一部となる感覚は、特別ですね🎶 🎉 そして、次は…! ひと段落…と思いきや! ここからまた、ワクワクなイベントやプロジェクトが続々と始まります✨ 📣 まずは、7月30日に特別なお知らせを公開予定!…

通奏低音は伴奏じゃない⁉️

通奏低音は伴奏じゃない⁉️ バロック音楽では、上で歌う旋律ではなく、下で鳴っている“低音”こそが音楽の本体🎶 「通奏低音=伴奏パート」と思われがちですが、実は、それは大きな誤解。 通奏低音は、ただの和音のサポートではなく、和声・リズム・推進力のエンジン💨チェンバロやオルガン奏者は、即興で音楽を創造しています。 ときには、上の旋律が“添え物”のように感じられることさえある。私自身、バロック作品を演奏していて「音楽が下から湧き上がってくる」そんな瞬間を何度も経験しています。 通奏低音を聴くと、バロック音楽の“呼吸”が見えてくる。 あなたの中の「音楽の主役」、ちょっと入れ替えてみませんか? 高橋未希のライン公式アカウントへぜひお友達登録してください!イベントや講座、そしてライブ配信などの情報がお受け取りになれます。 現在、🎁LINE登録特典🎁\あなたはどのくらい古楽に向いている?/【見分け方チェックリスト】プレゼント中!

えびす塾オンライン・チャリティーコンサートへのお誘い

人生は何があるかわからないもので、大学生の頃には結婚する気も子供を持つ気もなかった私が、なぜか今はイギリスで、2児の母をしています。 たまたま妊娠中にお互い診察時間が隣り合わせだったため知り合った日本人女性のご家族と交流が始まり、そこからバーミンガムにも日本人コミュニティと子供向けの日本語教育の場が存在することを知りました。 ロンドンに日本人コミュニティがあることは前から知っていましたが、バーミンガム周辺にも日本人の方々が意外と多く住んでいらっしゃいます。そんな中、子供達に日本語と日本文化を学んでもらいたいというお父さんお母さんたちが集まり、協力して運営されているのが、幼児向けの「きりんさん会」、日本だと幼稚園の年齢の子供達が集まる「あさひくん」、そして学齢に達した子供達の日本語教育を毎週土曜日に行う「えびす塾」です。日本語の児童書を借りることのできる「きりんさん文庫」も併設されていて、たくさんの絵本を借りることができるのも魅力です。 私の子供達も、「きりんさん会」からお世話になり、上の子は去年から1年生として「えびす塾」に入学しました。 「えびす塾」では、できるだけ多くの皆さんに参加してもらうことと、親同士、子供同士の交流を促進するために授業料は低く設定され、季節ごとに「夏祭り」「運動会」や「新年会」などの行事を行い、その時のバザーや日本食の売上などから運営費を補填してきました。また、ダービシャーやロンドンにある他の補修校と違って、日本の教科書に沿った指導をしつつも、子供達のペースに合わせた少人数制の授業をしているのが特色です。 しかし、コロナウィルスの影響で昨年からこれらの季節行事やバザーを行うこともできず、昨年度からオンライン授業が続いています。このままでは今後の活動費の見通しが立たずに、えびす塾の存続が難しくなるかも知れません。そこで、えびす塾の財政状況を改善し、バーミンガム周辺に住む日本人家族や子供達にとって大切な教育と交流の場を存続させるために、微力ながらチャリティーコンサートを企画いたしました。ロックダウンが続く中での自宅録音となっていることをご了承ください。主人と子供達にも協力してもらい、聴きやすく、子供達にも親しんでもらえるプログラムを考えてみましたので、覗いてみていただけたら幸いです。オンラインコンサートの収入は、手数料を除いた全額をえびす塾へ寄付させていただきます。コンサートページへは、以下のリンクをお使いください、宜しくお願いいたします。    ~ピリオド楽器で楽しむ古典派のデュエット~ ヴァイオリン:髙橋未希 ヴィオラ:アダム・レーマー プログラム W.A.モーツァルト: ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏 ト長調 ケッヘル423 アレグロ アダージョ アレグロ 子供達と、かえるの歌 F.A.ホーフマイスター: ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏 作品19 第5番 アダージョ アレグロ W.A.モーツァルト:イヴォンヌ・モルガン編曲によるヴァイオリンとヴィオラのためのアリア、魔笛より

バロックヴァイオリニスト?

このウェブサイトを開いて、なぜ名前の下に”Historical Violinist”とあるのか、気になった方はいらっしゃいませんか? 実は、バロックヴァイオリン奏者、というのは少々誤解を招く言い方です。そもそも古楽演奏習慣(この言葉についてはまた別の機会に説明します。)についてのリサーチが始まった時代には、ずばりバロック音楽の演奏習慣についての研究と試みが主だったために、バロック時代に用いられていた楽器、または楽器のコピーを使用して演奏するヴァイオリニストを、バロック ヴァイオリニストと言い始めたのが恐らく始まりでしょう。 ですが、実際には殆どの「バロックヴァイオリニスト」はバロック時代からロマン派まで、各時代にふさわしい楽器を使っての演奏活動を行なっています。バロックヴァイオリニストだからといって、バロック時代の音楽しか演奏しないわけではないのです!より正確な表現にすれば“Historical Violinist”-ヒストリカル ヴァイオリニスト(もしくはPeriod-ピリオドという表現も使われます)になるのですが、この言葉、まだ一般の方には馴染みが薄いと思うので、便宜的に通りの良いバロックヴァイオリニスト、という表現を選びました。 突き詰めていくとなかなか奥が深い古楽の世界ですが、初めは難しいことは考えず、気楽に楽しんでいただけたら幸いです。上記の事情はともあれ、少なくとも私のメインレパートリーはやはりバロック音楽。たった一楽章で演奏時間が20分を上回ることの多いロマン派の音楽と違って、バロック音楽は1曲の演奏時間が短く(物によっては30秒以下から、どんなに長くても13分くらい)、しかも曲のキャラクターがわりとはっきりしています。ある意味、ポピュラーミュージックにより近くわかりやすいと考えると、聞いてみたくなってきませんか?

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