Miki Takahashi

Miki Takahashi

Ms. Miki Takahashi is a period violinist, performing as a soloist and a chamber musician world wide. After Miki has studied at Toho-Gakuen High School of Music with Koichiro Harada and at the Royal Conservatory of Music with Professor Lorand Fenyves in Toronto (Canada), she has switched her major to historical violin and completed the postgraduate degree at the University of Arts in Berlin with Irmgard Huntgeburth. Shortly after Miki has moved to Berlin, she won first prize and the special prize for stylistic ornamentation at the Third International Telemann Competition in Magdeburg, Germany. Also on the same year, she was awarded with the first prize as well as the audience prize at the International Music Competition Musica Antiqua in Bruges. Miki’s career took her eventually to United Kingdom and she is currently the leader of St. James’s Baroque, co-leader of Feinstein Ensemble and a member of 2 to Link (Classical Violin&Viola Duo) and Turini Ensemble. She performs regularly in the major baroque ensembles such as Early Opera Company, The English Concert, Classical Opera Company, Collegium Musicum 90 and Gabrieli Consort. Ms. Takahashi is also an enthusiastic teacher at University of Birmingham and Royal Conservatoire of Birmingham.

楽器と奏法、どちらから入る?

 以前のブログで、バロックヴァイオリンとモダンヴァイオリンの違いについて書きましたが、楽器がバロックヴァイオリンであれば自然にバロックの奏法になるわけではありません。いくら楽器が限りなくバロック時代のものに近くとも、奏者がモダンヴァイオリンの技術を使って演奏すると、モダン楽器を演奏しているのと結果はあまりかわりません。奏者の技術が高ければ高いほど、楽器の「欠点」を技術力で補ってしまい、「少し弾きにくいヴァイオリンで普段通りの演奏をする」形になります。このような例は古楽演奏習慣の普及に伴って最近減りましたが、私が学生の頃にはモダン演奏とどこが違うのか全くわからない、「バロック楽器を使用した」コレッリのヴァイオリンソナタのレコーディングに行き当たったことがあります。  逆をいえば、モダン楽器を使用していても、コンセプトさえおさえていれば、モダン楽器でバロックのレパートリーを当時のスタイルに基づいて演奏することは可能です。私見ですが、アンサンブル単位や、プログラムの都合上一時的にスタイルを学ぶ場合、バロック楽器に触れることも大切ではありますが、本番では使い慣れた楽器を使った方が良いと考えます。ほとんどのヴァイオリニストは幼少期から楽器に触れている、いわばモダン楽器のエキスパートなわけで、その技術力を応用する方が、いきなり見知らぬ(そして大抵の場合クオリティの低い)バロック楽器を使うよりも話が早いと言うわけです。容れ物より中身、ということですね。  また、予算などの関係で中間をとって、モダン楽器はそのままで、弓だけバロック弓に持ち替えて演奏する場合も見かけます。確かにバロック奏法の1番の違いは弓の扱い方だと思うので、効率の良い方法ではあるかもしれませんが、先に弓だけ替えて後からバロックヴァイオリンを購入するプランはあまりお勧めできません。何故なら、モダン楽器に合う弓と、バロックヴァイオリンに合う弓は違うので、弓を二度買いすることになるからです!  その昔、ヴァンクーヴァー古楽音楽祭で夏季講習を受けた際、指導にあたられていた先生曰く、楽器と弓のコンビネーションはソフト+ハードが基本。モダンヴァイオリンは「ハード」、モダン弓は「ソフト」、バロックヴァイオリンは「ソフト」、バロック弓は「ハード」と考えると、モダン楽器にバロック弓のコンビネーションはハード+ハードになってしまうのであまりお勧めしない、とのこと。実際にどちらの楽器にも触れたことのある方には、イメージしやすい例えだと思います。  ここまで読むと、「では本当に古楽演奏習慣を学ぶには、良い楽器と弓を買い直さなくてはならない。ハードルが高すぎる。」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。ですが、ヴァイオリン奏者がある日、チェロを学びたいと思った場合、ヴァイオリンを使ってチェロの練習はできませんよね。ヴァイオリンはヴァイオリンでも、モダンとバロックは「違う楽器」と捉えてしまえば、そんなにハードルの高いことではないかと思います。先程の例ならば、チェロに興味を持って「学びたい」と思ったら、まず楽器を借りてみることが可能です。私も、大学時代に古楽をやってみたいと思った時は、まず初めに人伝に楽器を借りてトライし、その後は大学から1年間楽器を借りて研鑽を積みました。やはり、バロックヴァイオリンに触れることで学べることはたくさんあるので、奏法について学ぶ最中に良い楽器を借りて弾くことは、貴重な経験になります。  とはいえ、まず古楽に親しんでみたいと思われる方、またはモダン楽器の奏法でバロックのレパートリーを弾くことに納得がいかない、誠実なミュージシャンの方に1番お伝えしたいのは、楽器を揃えることよりも、ソフト面にあたる奏法の方が遥かに重要だということです。中には、あえてモダン楽器の特性を活かしたまま古楽演奏習慣をうまく取り入れて演奏活動に励んでいらっしゃる方も見かけます。もちろん、奏法を学ぶうちにモダン楽器では物足りなくなってバロックヴァイオリンを購入する、ということも十分ありえますし、歓迎したいところです。この経路を辿れば、バロック弓の二度買いも防げますし、そうなる頃には楽器を買うだけのコミットメントを躊躇うことはないでしょう。

My musical grandfather- Lorand Fenyves

The greatest influence I had in my life comes from Professor Lorand Fenyves (1918-2004), who was a great pedagogue and have taught many successful violinists and violists. His teaching was tailored to each of his students according to the background,…

Interested in learning Baroque Violin?

Are you by any chance interested in learning Baroque Violin/Historical Performance Practice? With the impact of corona virus, private music lessons has had a great impact. As the lockdown will be slowly eased, personal lessons will be resumed, but at…

バロックとモダンヴァイオリンの違い

ウェブサイトのリニューアルにあたり、削除されてしまっていたバロックとモダンバイオリンの違いについて、大分前に書いたものになりますが、少し手を加えてここに掲載します。 見た目からいくと、バロック奏者は基本的に顎あてを使いません(使う人もいますが、遠慮がちに小さめのものだったりします)。弦は、E線からG線までガット弦の場合もあれいば、E線とA線はオープンガット弦(外側に銀線を巻いていないガット弦です)で、G線はモダンでも使われている、外側を銀線でカバーしたガット弦、D線はどちらもありですが、銀線を数本巻き込んだオープンガット弦を使う人もいます。ガット弦とは、基本羊の腸を撚って作ったもので、だいたい黄色っぽい外見になります。 ずっと文章だとわかりにくいので箇条書きにします。バロック楽器はモダンに比べると、 1、駒が低めで、カーブも緩やか。 2、ネックが楽器の胴体に対して水平に取り付けられている。(モダンは弦の張力を上げるためちょっと斜めになっています)これに伴って、指板が弦の上昇に合わせるように取り付けられています。 3、魂柱(楽器の中に立っている小さな柱のようなもの。実は弦の張力を楽器の中から支えている)が少し細い。 4、バス・バーと呼ばれる、楽器の表板の裏側についている棒状のもの(上手く説明できませんが・・・)が細く、短い。 5、これは楽器の注文主によって違いますが、指板が短い。 という違いがあります。とはいえ、楽器の基本構造は、400年来全く変わっていません。 相方の弓ですが、これは時代によっていろいろな型があり、人にもよりますが、プロは基本的に3種類くらい取り揃えています。(勿論、もっと大量に持っている人はたくさんいますが) 時代の早いものから、 1、短めの早期バロック用 2、ちょっと長めで、後期バロックソナタ用 3、古典派時代に使われたもの の3つ。1、2、は現代の弓とは逆に、カーブはアーチ型、3は初期では殆どまっすぐのものもありますが、S字型になったりと、モダンに近い形になってきます。 これらの違いが変えるのは、出てくる音量と音質です。(楽器5の指板の長さは、単に昔はあまり高いポジションを使わなかったからですが) バロック楽器は、 1、音量が小さめ 2、高めの倍音が多く聴こえるせいか、線の細い音がする 3、実は、モダン楽器より雑音が多い(バロッックの方が柔らかい音がすると思う人がけっこう多いですが、実はモダン楽器は極力音が滑らかに、そして均一に出るように改造されていて、雑音はとても少ないです。チェンバロの音を想像してみてください。ピアノの方が滑らかですよね。) 3は意外に思うかも知れませんが、バロック時代は一つ一つの音の表情がとても豊かである事が美しい音楽の条件だったようで、均一な音を作る事は当時の美意識に反していたのだと思います。調律の仕方も違った結果、それぞれの調声に違った性格があるのも常識でした。ただ、フレージングが”うた”や“かたり”に近く親しみやすいので、結果柔らかく聴こえるのかも知れません。 以上、ちょっと長くなってしまいましたが、概要です。

バロックヴァイオリニスト?

このウェブサイトを開いて、なぜ名前の下に”Historical Violinist”とあるのか、気になった方はいらっしゃいませんか? 実は、バロックヴァイオリン奏者、というのは少々誤解を招く言い方です。そもそも古楽演奏習慣(この言葉についてはまた別の機会に説明します。)についてのリサーチが始まった時代には、ずばりバロック音楽の演奏習慣についての研究と試みが主だったために、バロック時代に用いられていた楽器、または楽器のコピーを使用して演奏するヴァイオリニストを、バロック ヴァイオリニストと言い始めたのが恐らく始まりでしょう。 ですが、実際には殆どの「バロックヴァイオリニスト」はバロック時代からロマン派まで、各時代にふさわしい楽器を使っての演奏活動を行なっています。バロックヴァイオリニストだからといって、バロック時代の音楽しか演奏しないわけではないのです!より正確な表現にすれば“Historical Violinist”-ヒストリカル ヴァイオリニスト(もしくはPeriod-ピリオドという表現も使われます)になるのですが、この言葉、まだ一般の方には馴染みが薄いと思うので、便宜的に通りの良いバロックヴァイオリニスト、という表現を選びました。 突き詰めていくとなかなか奥が深い古楽の世界ですが、初めは難しいことは考えず、気楽に楽しんでいただけたら幸いです。上記の事情はともあれ、少なくとも私のメインレパートリーはやはりバロック音楽。たった一楽章で演奏時間が20分を上回ることの多いロマン派の音楽と違って、バロック音楽は1曲の演奏時間が短く(物によっては30秒以下から、どんなに長くても13分くらい)、しかも曲のキャラクターがわりとはっきりしています。ある意味、ポピュラーミュージックにより近くわかりやすいと考えると、聞いてみたくなってきませんか?

Something New…

First of all, I hope everyone who happens to read this are safe and healthy. It has been 2 months since UK has started lockdown, and thankfully, my family and I are all healthy so far. Ok, this is my…

Biography

Ms. Miki Takahashi is a period violinist, performing as a soloist and a chamber musician world wide. She won first prize and the special prize for stylistic ornamentation at the Third International Telemann Competition in Magdeburg,Germany. Miki was awarded with…

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