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マルタで感じたこと。

フーガの聞き方ヒントの学び。 11月末、ガブリエリ・コンソートのお仕事でマルタに行ってきました。指揮はポール・マクリッシュ。 演奏したのはヘンデルの《メサイア》。 会場は、ルーベンスの絵画があることで有名な、とても豪華な教会です。 マルタは、地中海に浮かぶ小さな島。光の強さ、植物、石灰を使った白い建物……いかにも地中海、という雰囲気なのですが、不思議なことに、 と、生活感はかなりイギリス。かつてイギリス領だった歴史を、日常のあちこちに感じる、不思議な場所でした。 リハーサル中、印象に残った話があります。ヘンデルの合唱曲、フーガになっている楽章を練習していたときのことです。 マクリッシュが、 「フーガでは、声部によって“拍感”が違うものを重ねることがある」 と話していました。 この楽章では、主題を提示する声部と、それに続く応答フレーズのグループとで、拍の感じ方・運動感がはっきり違っている。 その瞬間、「そういえば、バッハのフーガもまさにそうだな」と思ったんです。 バッハでは、テーマを縮めたり、引き伸ばしたりしながら、違う“質感”として重ねていくことがよくありますよね。 これを「理論」として理解する前に、そういう感覚がある、ということを耳と身体に留めておく。それだけで、フーガの聴こえ方も、弾き方も、本当に変わってきます。 今回の《3日でわかるバロック音楽》の講座でも、私は専門的な知識を前面に出すことは、あまり意識していませんでした。 それよりも大切にしたかったのは、実際に音楽をどう感じ、どう演奏につなげるか。 だからこそ、マグダレーナ・バッハの練習帳から《ミュゼット》を取り上げ、具体的に「どう語るか」「どこが“事件”なのか」を一緒に見ていきました。 私自身にとっても、とても学びの多い時間でしたし、受講生の皆さんにも喜んでいただけたのでは、と感じています。 もし、 と感じている方がいらしたら、 先日開催した《弾きたくなる!教えたくなる!3日でわかるバロック音楽》の講座アーカイブをご覧いただけます。 この講座では、 などを、専門知識を振りかざすのではなく、実際に音楽をするための視点としてお話ししています。 現在、期間限定で見逃し配信をご案内しています。 📅 販売期間:12月15日まで📅 アーカイブ視聴:12月17日まで ▶ 詳細・お申し込みはこちら クリスマスの時期は、キャロルやバロック作品に触れる機会も多いと思います。 年末に一度、バロック音楽の「聴き方・感じ方・弾き方」を整理する時間として、ご活用いただけたら嬉しいです。

実演・解説付き!バッハ無伴奏ソナタのトリセツ

\バロック・ヴァイオリンで聴いてみたい/ バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタのトリセツ 大好評開催中の『バロック音楽のトリセツ』演奏解説つき特別回を一般公開! 『バロック音楽のトリセツ』講座では、演奏家や音楽教室の先生向けに、バロック音楽の演奏・指導に役立つ知識を実践的にお伝えしています。 今回は、この回のために教会で録音した、バッハ無伴奏ヴァイオリンソナタト短調より、AdagioとFugaの演奏も公開🎶  バロック・ヴァイオリンでは実際にどんなふうに演奏しているの? モダン楽器でスタイルを取り入れて演奏したいけどどうしたらいい? そんな疑問にお答えします! 11月19日(水) 21:00〜22:30 オンライン開催(Zoom) アーカイブあり 『バロック音楽のトリセツ』受講生:無料 一般:3,500円 https://vimeo.com/1136574302/debbe03619?share=copy&fl=sv&fe=ci 今すぐ申し込む! こんな方におすすめです! バッハの無伴奏ソナタを深く理解し、演奏したい! バッハは楽譜に表現記号がないからどうしていいか分からない 感情を込めて弾いてもダメ出しされる・しっくりこない バロックスタイルを意識するとつまらない演奏になってしまう 演奏家の録音が千差万別すぎて参考にならない・・・ 教える時にどう伝えていいか分からない \一つでも当てはまる方、ぜひご参加ください/ ヴァイオリニストではないけれど、バロック音楽の演奏スタイルに興味がある方、大歓迎! 開催日時2025年11月19日(水)21:00〜22:30 ZOOM開催(アーカイブあり) 🎁お申し込み特典🎁 ・講師の録音映像アクセス権(プロの録音ではありませんが、響きの良い教会でこの講座のために録音したバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ・ト短調のアダージョとフーガの録音です)  ・あなたのトリルは大丈夫?魅力的な装飾音のつけ方PDF 高橋未希プロフィール イギリスから、バロック音楽の魅力を伝えるヴァイオリニスト。カナダ、ドイツ、イギリスの3カ国で学び、2009年より、イギリスを拠点にバロックヴァイオリニストとして演奏活動を行っている。 テレマン国際古楽コンクールならびに、古楽の世界では最も権威あるブルージュ国際古楽コンクールでで優勝。 ソロやリサイタルのほか、ガブリエリ・コンソート、エイジ・オブ・インライトゥンメント管弦楽団などで演奏、各種古楽アンサンブルのリーダーを務め、イングリッシュ・コンサートの客演コンサート・ミストレスを務めた経験もある。 バーミンガム音楽院で講師として後進の育成に努める傍ら、セミナー、公開レッスン、コンサートの3部形式で学び体験できるBaroque Discovery Dayという講習会をイギリスのバーミンガムで開催。 ヨーロッパで20年以上一流古楽アンサンブルで演奏してきた経験を活かし、バロック音楽の基礎知識をわかりやすく実践的にお伝えする『バロック音楽のトリセツ』講座を主催、現在3期を大好評開催中。 参加料バロック音楽のトリセツ受講生並びにサロン生:無料一般:3,500円 一般チケット3,500円…

🎶バッハ《ロ短調ミサ》とイギリス流コンサート事情

先週末まで、Armonico Consortというアンサンブルの公演でバッハの《ロ短調ミサ》を演奏していました。9月末と10月初めにかけて、全3公演。壮大なこの作品を何度弾いても、そのたびに新しい発見があります。 さて、イギリスのコンサート現場には、いつもながらの“お国柄”が出ます。今回も例に漏れず、リハーサルは本番当日のゲネプロのみ!(いわゆる、当日リハ+本番一発勝負スタイルです😅)ただし3公演あったので、2回目からは少し落ち着いた雰囲気に。でも3回目には出演できない人もいて、メンバーが一部入れ替わるというのも、いかにもイギリスらしい柔軟(?)な展開でした。 ✨ ラテン語の壁、毎回思うこと ロ短調ミサを演奏するたびに、必ず思うことがあります。それは——「ラテン語、ちゃんと勉強しておけばよかった!」 ということ。 日本では、カトリック系の学校でもない限り、ラテン語を学ぶ機会はほとんどありませんよね。でもイギリスでは、いわゆる進学校(Grammar Schoolなど)では普通にラテン語を学ぶらしいんです。この文化の違い、なかなか面白いです。 そういえば昔、初めてオーケストラのオーディションに応募したとき、書類に「C.V.を提出のこと」と書かれていて、英和辞典を引いても意味がわからず…人に聞いてようやく、「Curriculum Vitae(ラテン語)=履歴書」の略だと知りました。 「なんなんだこれは!」と思ったのを今でも覚えています😂どうやらヨーロッパではこれが“普通の言い方”なんですね。とはいえ、個人的にはもう少し分かりやすい言葉を使ってほしいところです…! 💫 「Dona nobis pacem」— 我らに平和を そしてこの作品の最後を締めくくる「Dona nobis pacem(我らに平和を与えたまえ)」の部分。このフレーズを演奏するたびに、いつも胸が熱くなります。 バロック時代は、戦争や宗教対立が今よりもずっと身近にあった時代。その中で人々がこの言葉を歌ったとき、どれほど切実に平和を願っていたことでしょう。 そして現代でも、戦争が絶えず起こり続けている今、この祈りの言葉が持つ意味は、ますます深く心に響きます。音楽を通して、「平和を願う声」は時代を超えて伝わってくるのだと感じました。 🎻 おわりに バッハの《ロ短調ミサ》は、宗教音楽の枠を超えて、人間そのものの祈りや希望を描いた作品だと思います。今回の演奏でも、そんなバッハのメッセージを改めて感じる時間になりました。そして、音楽が今もこうして「平和への祈り」を届けていることに、静かな感動を覚えます。

🎭野外オペラシーズン終了!

☀️今夏のオペラシーズンが、無事に終了しました! イギリスの夏といえば、音楽好きにはたまらない「野外オペラシーズン」。 …といっても、「野外」で演奏するわけではないんです。笑 ちゃんと屋根のあるオペラハウスでの上演します。 ただ、開演前や長めの休憩(90分くらい!)の時間に、 観客の皆様が、緑あふれる敷地でテーブルを囲み、ピクニックを楽しみます。 しかも、ドレスコードあり! 燕尾服の紳士やドレス姿の淑女が芝生の上で優雅に食事をする光景は、映画のワンシーンのようです✨ 「音楽」「自然」「社交」が一体となった、イギリスならではの文化イベントと言えます。 写真は会場のオペラハウス。リハーサル期間でしたので、正装の紳士淑女はいらっしゃいません。 🕊️ 今年はベートーヴェン『フィデリオ』! そんな素敵な舞台に、今年も《ザ・イングリッシュ・コンサート》からお声がけいただき、 6月から7月にかけて、ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』を、古楽器で演奏させていただきました。 昨年はラモーの『プラテー』を演奏していたので、今年はまったく違うジャンル。 改めて、「ピリオド奏者」としての幅広さを実感しています。 🧐「ピリオド奏者」って? 私は自分のことを「バロック・ヴァイオリニスト」と紹介することが多いのですが、 古楽の世界では「ピリオド奏者」という言葉がよく使われます。 この“ピリオド”とは、「歴史的なある時代」という意味。 つまり、作曲された時代に合ったスタイルや楽器で演奏するという姿勢を表しています。 なので、「バロック」だけでなく、 ・ルネサンス時代の作品を演奏することもあれば、 ・古典派(ハイドンやモーツァルト)や、 ・最近ではロマン派(ベートーヴェンやシューベルトなど)も扱うことがあるんです。 今回は、ベートーヴェンのドラマティックな音楽に、古楽器ならではの音色で取り組むという、 とてもやりがいのあるプロジェクトでした🎶 🏰 美しいオペラハウスでの7公演 会場は、美しい敷地に建てられたオペラハウス。 毎回、自然と一体になったような環境で演奏できたことが、とても印象に残っています。 演奏会は全7公演。 素晴らしい奏者のみなさんとご一緒できて、学びの多い充実した時間でした。 大きなオーケストラの一部となる感覚は、特別ですね🎶 🎉 そして、次は…! ひと段落…と思いきや! ここからまた、ワクワクなイベントやプロジェクトが続々と始まります✨ 📣 まずは、7月30日に特別なお知らせを公開予定!…

通奏低音は伴奏じゃない⁉️

通奏低音は伴奏じゃない⁉️ バロック音楽では、上で歌う旋律ではなく、下で鳴っている“低音”こそが音楽の本体🎶 「通奏低音=伴奏パート」と思われがちですが、実は、それは大きな誤解。 通奏低音は、ただの和音のサポートではなく、和声・リズム・推進力のエンジン💨チェンバロやオルガン奏者は、即興で音楽を創造しています。 ときには、上の旋律が“添え物”のように感じられることさえある。私自身、バロック作品を演奏していて「音楽が下から湧き上がってくる」そんな瞬間を何度も経験しています。 通奏低音を聴くと、バロック音楽の“呼吸”が見えてくる。 あなたの中の「音楽の主役」、ちょっと入れ替えてみませんか? 高橋未希のライン公式アカウントへぜひお友達登録してください!イベントや講座、そしてライブ配信などの情報がお受け取りになれます。 現在、🎁LINE登録特典🎁\あなたはどのくらい古楽に向いている?/【見分け方チェックリスト】プレゼント中!

メサイアの楽しみ方

12月13日から16日まで、久しぶりにスペインでメサイアを演奏してきました。オミクロン株が世間を騒がせ始めた時期にぎりぎりのタイミングで行われたツアーとなり、ペーパーワークやPCR検査に簡易検査の手続きなどで大変ストレスフルでもありました。それでも、団員全員、コロナの陽性検査結果が出ることもなく無事帰国することができ、ホッとしました。(イギリスへ戻って数日後にはスペインが英国からの入国を原則禁止したため、本当にギリギリのタイミングでした。) クリスマスといえばヘンデルのメサイア。日本でそう思っていらっしゃる方って、実質どのくらいいるのでしょう?年末の第九には全く及ばない、のが私の印象です。日本はキリスト教国でもありませんしね。 英語圏では、クリスマスといえばまずメサイアです。12月に入ると、途端に演奏依頼がメサイアのオンパレードになります。カナダに留学していた頃にも、何回かこの時期にメサイアを演奏した覚えがあります。 ですが、カナダでは何故か第二部の最後の曲、つまりハレルヤコーラスがプログラムの最後に来るように曲順が調整されていることがほとんどでした。つまり、第三部の名曲を抜粋して、第二部の間に差し込み、ハレルヤで終了、となっていて、第三部の多くの曲がカットされていました。 一方、イギリスではそんなことはなく、カットする曲はあるにしても(何しろ全て演奏すると長いので)、ちゃんと順番通りに演奏されます。ヘンデルはイギリスではほぼ自国の作曲家扱いなので、妥当なところしょう。 ところで、英語圏では、メサイアの演奏中不思議なことが起こります。 私が初めてカナダでメサイアの演奏を聴きに行った時のこと。ハレルヤコーラスが始まるやいなや、聴衆が客席から次々に起立したのです。郷に入っては郷に従え、ということで私も恐る恐る立ち上がったわけですが、後に、これは英語圏では普通のことで、どうやら『イギリスのジョージ二世が、ハレルヤコーラスの演奏に感動して起立した』ことに由来するらしいという説明を聞くことになりました。王様が立ち上がった場合、もちろん臣下一同が着席したままでいるわけにはいかず、全員が釣られて起立するわけです。・・・とはいうものの、実際には、本当にジョージ二世が感動のあまり起立したのか(単に座り疲れたとか、他の理由だったのかも知れない)、いやそもそも、ジョージ二世が演奏を聴く機会はあったのかなど、この由来に疑問は残ります。 由来はさておいても、長ーい演奏時間の中、しかも後半の半ばあたりで一度足を伸ばせる機会ということで(?)この習慣、英語圏ではなかなかにポピュラーです。イギリスでメサイアを演奏すると、ほぼ100%の確率で、ハレルヤ起立現象が起こります。 では、他の国ではどうなのか? 日本で学生時代にメサイアを演奏する機会がそういえば一度ありましたが、その時には聴衆の皆様は行儀良く最後まで座っていらっしゃいました。日本でも、時々ハレルヤ起立はあるようですが、なにぶん大学在学中に海外へ出てしまったため、日本の現状はよく知りません。 カナダでは起立現象が起きました。ほぼ名目上とはいえ、カナダの君主は一応エリザベス女王陛下、カナダドルには女王陛下が印刷されるような国ですので、まあ妥当かも知れません。ただし、立ち上がるスピードはイギリスほど早くなかった覚えがあります。(私のような新参者が多いお国柄だからかも知れません。) では、最近訪問したスペインはどうか。スペインは、多くのイギリス人が休暇を楽しむ国というばかりでなく、実は定年退職後に老後を過ごすことも多い国だそうです。熱心な信者も多いカトリック教国ということもあり、メサイアの演奏需要はとても高いといえます。しかも、聴くだけではなく、アマチュア合唱団がこぞって参加する、参加型メサイアが大変にポピュラー。イギリスから楽団とプロの室内合唱団を呼び寄せ、現地のアマチュア合唱団と共にコンサート、という形態で、私も過去数回、スペインへ行きました。(これには、メセナ活動を推奨されている大手銀行の資金援助がある、という要因も大きいと思います。) 結論から言うと、スペインではハレルヤ起立現象は起こりません。そういえば、ドイツ留学時代に一度メサイアを演奏したときも、誰も立ち上がりませんでした。もっとも、ドイツのクリスマス音楽はなんと言ってもバッハのクリスマス・オラトリオですので、そもそもメサイアは滅多に演奏されません。恐らく、大陸ヨーロッパではハレルヤ起立はあまり起きないのだと思います。 気がつけば私もイギリスへ移住して10年以上が経過し、英国スタイルのメサイアに随分慣らされました。ハレルヤ起立に関しては賛否両論あるようですが、私はこの習慣、別にいいんじゃないかと思っています。長いコンサートの中、堂々と足を伸ばす機会が持てるわけですし、ついでに、聴衆が能動的に起立することで、ちょっとでも『参加した』感を味わえているのではないかと勘ぐっています。日本で無理に実行するほどのことでもないとは思いますが、もし大多数が立ち上がるようなら、一緒に立ち上がってみても、バチは当たらないのではないでしょうか。

火焔菜(ビーツ)のスープ

火焔菜、と聞いて何のことだかわかる日本人はあまり多くないと思います。私も、国外へ留学するまで全く知りませんでした。ちなみに、日本語訳がわからずGoogleで検索したので、火焔菜という言葉を知ったのは今日です!(威張れない・・・。) 英語圏ではビーツ、またはビートルートという名で流通しているこの野菜、実は砂糖の原料にもなるテンサイの仲間の植物で、赤紫色のカブみたいな形ですが、甘みが強く美味しい根菜です。(ちなみに葉っぱも食べられます。)私はこの火焔菜を、他の野菜と一緒によくスープにしてしまいます。ロシアの方で有名なボルシチ風ではなく、ハンドミキサーで撹拌してしまうので、写真のように美しい(・・・と思うかどうかは人によりけりでしょうけど)赤紫色のスープになります。色は強烈ですが、子供たちが食べてくれるので、うちでは割と頻繁に食卓に登場します。 逆に、日本でよく見るカボチャはイギリスでは滅多に見ない高級品。甘いカボチャのスープが食べたいと思っても、そもそもあまり売っていないか、異様に高いのであまり買いません。イギリスや北米で「パンプキン」というと、形は似ていてもオレンジ色、つまりハロウィンにくり抜いてカボチャのランタンを作るのに使うものを指します。もちろん食べられますが、大きくて切るのに苦労する割に甘味は少なくて、私はあまり美味しいと思ったことはありません・・・。 さて火焔菜に戻りますが、スーパーなどでは、なぜか皮を剥いてすでに加熱してあるものを真空パックで売っていたりもします。これはもう、そのまま切ってサラダなどに入れたり、メインディッシュの脇役としていただいたりするようですが、やはり新鮮な茹でたてと比べると味が落ちる上に、私の好きな葉の部分も付いてこないので滅多に使いません。皮さえ剥けば生でも食べられるので、千切りにしてサラダに入れてもシャキシャキして美味しく、また彩りを添えてくれる優れものです。最近は、これをスパゲティ状にカットしてパスタの代わりに使う人もいるようです。 このように、私の大好きな火焔菜ですが、実は欠点が一つあります。元凶はこの強烈な色。調理する際はきちんとエプロンを着け、ハンドミキサーでスープを攪拌する際には飛び散らないように細心の注意を払わないと、赤紫のシミが至る所にへばり付くことになります。もしこの野菜をお手に取る際にはご注意ください。

テレマンのカノンをご一緒しませんか?

昨年からのロックダウンの影響で、イギリスの大学ではほとんどの授業がオンライン化されました。必修科目ではないバロック・ヴァイオリンのクラスもその煽りを受け、グループレッスンなのにオンラインクラスという多少無茶な状況となり、どうしたものかと頭を捻った結果作ったのが以下のヴィデオです。 G.P.テレマンのカノン風ソナタ第1番(TWV40:118)は、私も普段からよく生徒さんと一緒に弾いていました。これを私が1人で録音し、生徒さんには各自自宅でこのヴィデオの中の私と一緒に弾いてもらおうという試みです。せっかく録音したので、こちらでシェアすることにしました。バロックピッチであるA=415Hzの録音となっていますので、その点ご注意下さい。 ボーイングを私が入れた楽譜は以下のリンクからダウンロードできます。 慣れていない方には多少読みにくいかもしれませんので、楽譜を読む上での注意点を以下に箇条書きにします。もちろん、自前の楽譜を持っていらっしゃる方はそちらをお使いいただいても全く問題ありません。 ・ト音記号の右上についているXは、シャープ記号です。よって、これは調号がF#のト長調ということです。曲中にもこのXサインがシャープの代わりに使われています。 ・2小節目の上に、アルファベットのSの右上と左下に・のついたサインがあります。これはセカンドパート奏者(この場合は演奏される皆さん)への、カノンのファーストパート奏者がこの小節でたどり着いたところで頭から弾き始めてください、というサインです。つまり、ヴィデオの中の私が2小説目の2拍めを弾くタイミングと、皆さんが1番初めのレの音を弾くタイミングが一緒、ということになります。要するに、このカノンは1小節後からセカンドパートがファーストをおいかける形になります。続く2、3楽章も同じ要領で初めてください。少しでも楽しんでいただければ幸いです。

えびす塾オンライン・チャリティーコンサートへのお誘い

人生は何があるかわからないもので、大学生の頃には結婚する気も子供を持つ気もなかった私が、なぜか今はイギリスで、2児の母をしています。 たまたま妊娠中にお互い診察時間が隣り合わせだったため知り合った日本人女性のご家族と交流が始まり、そこからバーミンガムにも日本人コミュニティと子供向けの日本語教育の場が存在することを知りました。 ロンドンに日本人コミュニティがあることは前から知っていましたが、バーミンガム周辺にも日本人の方々が意外と多く住んでいらっしゃいます。そんな中、子供達に日本語と日本文化を学んでもらいたいというお父さんお母さんたちが集まり、協力して運営されているのが、幼児向けの「きりんさん会」、日本だと幼稚園の年齢の子供達が集まる「あさひくん」、そして学齢に達した子供達の日本語教育を毎週土曜日に行う「えびす塾」です。日本語の児童書を借りることのできる「きりんさん文庫」も併設されていて、たくさんの絵本を借りることができるのも魅力です。 私の子供達も、「きりんさん会」からお世話になり、上の子は去年から1年生として「えびす塾」に入学しました。 「えびす塾」では、できるだけ多くの皆さんに参加してもらうことと、親同士、子供同士の交流を促進するために授業料は低く設定され、季節ごとに「夏祭り」「運動会」や「新年会」などの行事を行い、その時のバザーや日本食の売上などから運営費を補填してきました。また、ダービシャーやロンドンにある他の補修校と違って、日本の教科書に沿った指導をしつつも、子供達のペースに合わせた少人数制の授業をしているのが特色です。 しかし、コロナウィルスの影響で昨年からこれらの季節行事やバザーを行うこともできず、昨年度からオンライン授業が続いています。このままでは今後の活動費の見通しが立たずに、えびす塾の存続が難しくなるかも知れません。そこで、えびす塾の財政状況を改善し、バーミンガム周辺に住む日本人家族や子供達にとって大切な教育と交流の場を存続させるために、微力ながらチャリティーコンサートを企画いたしました。ロックダウンが続く中での自宅録音となっていることをご了承ください。主人と子供達にも協力してもらい、聴きやすく、子供達にも親しんでもらえるプログラムを考えてみましたので、覗いてみていただけたら幸いです。オンラインコンサートの収入は、手数料を除いた全額をえびす塾へ寄付させていただきます。コンサートページへは、以下のリンクをお使いください、宜しくお願いいたします。    ~ピリオド楽器で楽しむ古典派のデュエット~ ヴァイオリン:髙橋未希 ヴィオラ:アダム・レーマー プログラム W.A.モーツァルト: ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏 ト長調 ケッヘル423 アレグロ アダージョ アレグロ 子供達と、かえるの歌 F.A.ホーフマイスター: ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏 作品19 第5番 アダージョ アレグロ W.A.モーツァルト:イヴォンヌ・モルガン編曲によるヴァイオリンとヴィオラのためのアリア、魔笛より

初心にかえる

初心にかえるー楽器の持ち方 先日、イギリスのベネデッティ財団主催による、音楽教師のためのオンラインミニ講習会に参加しました。時間のあるこの時期に、自分の指導の仕方について見直してみようと思ったのがきっかけです。ロックダウンのため娘のヴァイオリン指導も結局は私がやっているため、その面でも大変勉強になる講習会になりました。(普段は高校、大学生レベルの生徒さんのことが多いので) もちろんこれはモダン楽器奏者による講習なので、具体的な技術は古楽器と違う面も多いのですが、人に教える際には共通項がたくさんあります。 第一回目のテーマは『セットアップ』について。要するに、初心者、または悪い癖のついてしまった生徒さんの楽器や弓の持ち方などをどうやってより良い方向へ導くのか、ということですね。 このトピック、実は初心者に限らずとても重要です。子供達の場合は体の成長に合わせてたえず楽器の持ち方や基本の運弓を見直す必要がありますし、大人になって体の成長が止まっても、妊娠出産(実際に経験した方はご存知と思いますが、立ち方も変われば関節の柔らかさも変わってしまうという大イベント)はもちろん、加齢による身体能力の変化や関節の動きやすさ、さらには習慣による体の変化など、ほんの少しの違いでも、年月を経て大きな違いになって出てくることはザラです。 ほとんどの場合、バロック・ヴァイオリン奏者は、モダン・ヴァイオリン/ヴィオラから転向してきます。その際に、楽器の持ち方の『リセット』を経験していらっしゃるので、感覚的になぜそれが重要なのか知っている方も多いはずです。先生や地域によって差があるとは思いますが、子供の時と違って自分で意識的にセットアップを見直すことになるため、バロック楽器奏者は自分の体と楽器との対話をより多く行ないます。そして、多くの場合、一度『リセット』したら終わり、というものではなく、自分と楽器に合わせて『リセットし続ける』こともわりと普通に捉えています。 ミニ講習会では、ではその『リセット』をどのように生徒に促していくのか、具体的なテクニックについてお話を聞きました。細かいことは省きますが、 楽器を下ろして持ち直す動作をできるだけ多くすること が重要だそうです。特に子供達の場合、楽器や弓を強く握りしめてしまうことがよくありますよね。それに、習慣というのはなかなか頑固で、せっかくリセットした楽器の持ち方も、弾いているうちに、リセット前の持ち方に戻ってしまうことがほとんどです。このような時に、細かく説明して指導することも場合によっては必要かもしれませんが、多くの場合、単純に楽器を近くのテーブルなどに一度置いて、また持ち直す『ミニ・リセット』が効果的だというのです。 そういえば、私も本番中に体の一部に力が入ってしまった時、一瞬だけ力を抜いてリセットすることがあります。弾いている間に楽器を下ろすことはできないので、感覚だけで処理する『マイクロ・リセット』とでも言いましょうか。緊張状態にあるとき、具体的に腕のどの筋肉に力が入ってしまっているのかわかる人は少ないでしょう。例えピンポイントで分かったとしても、ではその筋肉だけをリラックスさせられる人は・・・ええと、いるのかもしれませんが、殆どの人には無理かと思います。そもそも、演奏中にそんなことを考えている暇はありません。『この状態はよくない』と思った時に、パッと一瞬力を抜いてリセットする方が遥かに楽です。 このテクニックには応用編があって、特定の部位の力を抜くことが難しい時、一度全身に力を入れてから弛緩させると一緒にリラックスできます。演奏中には難しいですが、体に力の入りやすい方は、練習中に是非試してみてください。(これはカナダに留学中にパフォーマンスクラスで習いました。) 話がそれましたが、講習会ではさらに、習い始めの時期に焦らないことも強調されていました。子供達の場合、イギリスではグループレッスンになることが多いのですが、半年間くらい開放弦ばかり弾くことになっても良いと言うのです。確かに、ヴァイオリンは音をきれいに出すのが難しい楽器ですし、左手も重力に逆らった上に捻って使うので、慣れるまでには時間がかかります。開放弦ばかり弾いて左手は何もしない訳ではなく、いろいろなエクササイズを通して左手の使い方も学びながら、時間をかけてセットアップをきちんとした方が、その後の上達が早いということですね。娘のヴァイオリン教本に、何故か左手のピッツィカートやハーモニクスなどの練習があり不思議に思っていましたが、これらもどうやら左手のセットアップのためにある練習だということがこの講習会で分かりました。 スズキなどで、子供達が何巻目のどの曲まで進んだかを競い合うことがありますが、あまりそういうことにこだわると、基本のテクニックが確立されないまま曲だけ弾けるようになっていき、レベルが上がってきたところでつまづいてしまう可能性が高くなります。学校側のカリキュラムの都合や生徒さんの親の要求に板挟みになる先生方も多く、これはなかなかに改善の難しい領域ではありますが・・・。ベネデッティ財団では、セットアップの重要さについても『布教』を試みているようですので、今後、教育現場でのこの面での理解が深まっていくことを期待します。 どんな分野でもそうですが、基本は大切であるということを学び直すきっかけとなった講習会でした。

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